基準クロック信号源も,カラーバースト信号からGPSに変わる時代

米Analog Devices社からGPS衛星の信号を基準にするクロック発生ICを発売するそうです 米Analog Devices社,GPS衛星信号に同期したクロック信号を生成するクロックICを発売 | 日経 xTECH(クロステック)

高精度の基準クロック信号といえば,テレビ信号のカラーバースト信号から10MHz基準クロック信号を生成する秋月電子通商のキットを思い出します.今はもう販売されていないキットですが,その説明書の記載,原子発振器を基準にして生成されるカラーバースト信号を利用していて...,には中学生ながらドキドキしながら読み組み立てた思い出があります.

あと1年でアナログ放送は停波します.そのときには放送電波とともに,原子発信器から生成された高精度クロックでもあるカラーバースト信号も日本から姿を消すわけです.

基準クロック信号源も,時代はアナログからデジタルへと移行するのだなっと,少し寂くも感じます.

話がずれますが,秋月電子通商の電子工作キットの説明は,回路の技術情報や工夫を高度な技術情報にもかかわらず中学生でも理解できるほどに平易かつ的確に書かれていて,とても楽しいものです.例えば,Ni-Cd電池充電器の定電流回路は,基準電圧にダイオードを用いていたのですが,シリコンダイオードの順方向電圧の温度特性 -2mV/deg を利用してNi-Cd電池が要求する定電流値の温度特性を実現していました.

1つ1つはトリビアに見えるかもしれません.ですが,設計とはこのトリビアの集大成であると私は思います.大学で半導体工学を学習したあとでも,秋月の回路説明ほどに実用的で分かりやすくそして設計において使える知識というのは,なかなかないものです.