アノト デジタルペン と 海連 テックノート の使い心地比較
ここ2ヶ月の間,アノトのデジタルペンと海連のテックノートをそれぞれ使って使い心地を比べてみました.こういうマン-マシン インタフェース系の商品は,使い方や趣味性が人により大きく違うために,カタログスペックだけでは判断しづらい実際に使って初めて分かる情報があるので,自分の好みの使い方と感触を基に独断でまとめてみました.
こちらは3年間使用したTechNote(A4サイズ)。裸のままでカバンに入れて毎日使用していたのでプラスチックの塗装がはげてきていますが、故障することもなく毎日元気に動いています。
使い方
目的は,手書きのデータを画像デジタルデータとして取り込む,ただそれだけです.文字認識やデータ分類やら,デジタルペンによくある謳い文句の機能は一切利用しません.
私の主な活用は文書作成です.
パソコンの文書作成に時間がかかる原因は,文書の本質的な内容を作る作業と,デジタルデータとしての文書の完成度を高める作業が,ごちゃごちゃになってしまうことだと私は考えています.ストーリーの骨組みが気に入らなくてそれを修正しているはずなのに,気がつくと目次の見た目が気に入らなくてデザインをいじっている,そんなことをしていたら,何時まで経っても文書ができるわけがありません.
具体的な使い方は,まず,文書の映画の絵コンテみたいなプロットと挿入する図表イメージを手書きで書きます.次に,パソコンに取り込こんだ手書きデータを,Copy&PasteでMS-WORD文書にぺたぺたポストイットみたいに貼りつけて下書きを作ります.あとはMS-WORDでそれを清書をしていくのです.骨組みとプロットがきっちりしていれば,清書などは単なる流れ作業ですから,質の高い文書を短時間に作成できます.
不戦敗の製品
超音波とか赤外線を使う商品は,解像度が気に入らないのと,データが取り込めているかいまいち分からないので,私は評価していません.
"デジタル"ノート/ペンとしての使い心地
アノト ★★
テックノート ★★★★
使用時に確かに動作していると確認できる安心感から,テックノートに1勝を上げたいです.
"デジタル"ノートを使うとまず取り込み関係が心配になります.例えば:
- (ペンの軌跡)データが取り込めている?
- いま見ているノートと同じデータが取り込めている?
など.
アノトのデジタルペンは,ノートに書いたままのデータをBluetoothやUSBでパソコンと自動同期します.デジタル製品としての完成度はとても高いです.ただしデータ取り込み中の表示機能がないので,(実際に取りこぼしたことはなく,杞憂なのですが) 心理的に大丈夫かなぁと心配になります.ペンの画像取り込み口を手でふさいでしまうと取り込みができない方式なので,心理的な心配がついてまわります.
テックノートは本体液晶にペン認識状態が表示されるので,この点の心配がないのが安心です (電池切れで認識されなくなっていても,すぐ気がつきました.心理的な安心が大きい.)
パソコンのデータ同期はUSBのみ,ページをめくるときにデジタルノートのページ変更操作を忘れると,デジタルデータが同じページに上書きになることはあります.(誤って上書きしても,書き順データから半自動的にペン軌跡データをページ毎に分離してくれるので,困ることはほとんどないですが.)
ペンとしての使い心地
アノト ★★★
テックノート ★★★★
書き心地や色味は,いずれもC4という規格のリフィル (ボールペンの替芯) を使うために,自分の好みののリフィルを選択すればよいだけです.ただしテックノートはリフィルがメーカーによって使えないことがあるので★-1です.
ペン軸は,アノトのデジタルペンは,ドクターグリップもしくは"ほぼ日手帳"についてくるような3色ボールペンの感じです.テックノートは普通のボールペンです.
ペン軸の好みは千差万別なので,これも引き分けです.
ただ使える色は,テックノートが3本のペンを個別に認識する機能があり3色で書き込みができるのに大して,アノトのデジタルペンはデジタル的にペンの色を設定する機能はあるが実際のペンの色は1色しかありません.黒以外の色が使えるのは,マークや注意書きを入れるのにとても重要な機能なのでテックノートに★+2です.
デジタルデータの取り込み,同期
アノト ★★★★★
テックノート ★★
アノトの圧勝でしょう.BTとUSBのインタフェースを備え,ユニークなIDで識別された"紙"のデータを確実にデジタルデータに反映,同期をかけます.文句なしです.
テックノートはインタフェースはUSBのみ,パソコンからはUSBマスストレージとして見えていて,ページごとにペン軌跡データが個別ファイルとして見えます.ファイル操作(コピー,削除)でデータが扱えるので,データを移し替えるのに専用ソフトは不要なのは,すばらしいです.しかし,原理上仕方ないのですが,ページに追加記載したときのデータ同期は手動ですることになるので,アノトと比べてしまうとちょっと不便です.