デブサミに呼んでもらいました

翔泳社が主催されている10年後も世界で通じるエンジニアであるために Developers Summit 2012の座談会に呼んでもらいました。このような晴れ舞台に呼んでもらえたのは初めてで、嬉しいのと自慢したいのでエントリーを書こうと思ったのですが、それでは読んでいる方になんの利得もないので、感想を書いてみようと思います。

会場

開催会場は、目黒駅から徒歩ですぐのところにある雅叙園でした。結婚式場だそうですが、その威風堂々とした入り口に圧倒されました。

その内部も豪華絢爛で、建物の中なのに、池があり、竹林があり、藁葺の家がありました。天井や壁の修飾も美しく、歴史がありそうなもので、キョロキョロするばかりでした。

日本にはこんな場所があるんだなって、驚きました。

座談会

呼んでいただいたのは、http://seshop.com/se/timetable/21
2月16日 [Mobile Technology] 15:25〜16:15 16-D-5】
iPhoneアプリ開発者座談会2012
高橋 征義 氏 / shachi 氏 / 上原 昭宏 氏 / 増井 雄一郎 氏 / 川畑 雄補 氏
でした。スポンサ企業また聴衆の方々の層、そして座談会の皆様の顔ぶれから、ハードウェアとソフトウェアの微妙な境界を領域としている自分にはアウェー感がいっぱいです。

なにがあったか

バックヤードでの座談会の打ち合わせ、座談会、またその後の会話がごちゃごちゃに記憶していて、自分の思い込みも混ざったと思うのですが、印象に残ったことを列挙してみます。

アプリのデザイン

アプリの魅力を決めるデザインは、紙ベースの静的なデザインをする方と、動的なデザインをする方がいるよね、という話がありました。
今のスマフォのアプリは、動きや感触の表現が大きな魅力となるので、後者の動的なデザインをする方と組みたいね、という感じでした。前者の紙ベースのデザインをする方は、ウェブ系でFlashを好まない経験を持っているウェブ系のデザイン領域の方に多く、後者の動的な方は、Flashとかが出身の方が多いよね、とのこと。動的なデザインをする方と組むと、例えばアプリのデザインが、1枚の静止画ではなくて、映画やアニメと同じ絵コンテで出てきて、さらにFlashでプロトタイプを作られてくるので、アプリを作る側はそれをみてタイミングやアニメーションを作ればいいので、とてもやりやすい、とのこと。
過去にウェブにアニメーションを取り入れた時に、魅力が引き出しづらかった経験があったとしても、今のスマートフォンの時代での成功体験にあわせて、デザインが担う役割が違ってきているのかなと思いました。
あと、会社の組織で、このアニメーションはいいぞって開発者が思って作っても、その上の人が、アニメ?だめだめ、な意見の方だと、そこを突き通してアニメなアプリを出すのは突破に工夫がいると。だが出ちゃって、ユーザがアニメいいねっって言うと、けっこうするっとそのままいっちゃうとか。

iPhoneAndroid

いろいろなところで聞きますが、iPhoneAndroidでユーザ層が違うんだなと。iPhoneユーザは、するっとお金を支払うけど、Androidユーザは、デフォルト構成のままアプリをインストールすという考えがないっぽい?とか。日本でiPhoneに対してAndroidは台数で3〜4倍あるのに、アプリダウンロード数は課金で1/10、無料でも1/2程度と。アプリのダウンロードを知らないのか、また最近のAndroidマルウェアや不正なアプリについての報道でアプリ自体を入れないのだろうか、とのこと。
iPhoneはアプリなど使うこと楽しむ端末、Anrdoidはネットを使う端末(ブラウザとメールが使える電話機プラスアルファ)、かなというのが印象に残りました。

10年前と10年後と

デブサミが10周年で、全体テーマが開発者の10年後は?だったので、10年をキーワードにした話がありました。10年後を予測することはまず無理ですが、逆に10年前を振り返るとメールが企業に導入されて、”前略”ではじまる長ったらしい電子メールが、ビジネスルールとして定着、それに業務時間が費やされていたインターネットの普及期、でした。
今現在のコミュニケーション手段は、SkypeFacebookTwitterで、チャット的に短い必要な文章をやりとり、必要があればSkypeで喋り、また仕事相手とは数ヶ月に一度はリアルに顔をあわせる、という、かなりダイナミックに変化している、感触でした。ただ、皆さんの仕事のやり方は、現在ではまだ少数派かもしれないので、10年後にこれが多数派になるかは分からないかもです。例えば、Githubでソースをみた方がお前のソースはいい仕事だからこの仕事を頼みたいとか。そんな感じのお仕事の流れ。
開発者の概念は違ってるよね、って感じでした。例えば10年前だと、VCやVB、あるいはEXCELが使える人が開発者と呼べるようになった感じで、10年後はターミナルでコマンドを叩けるレベルは開発者だろうと。また、例えばUnityみたいに、道具を供給する側と、その道具を使う(使いこなす)人に、更に分極するかなと。いまどきのスマフォは、演出、デザイン、あるいは課金の導線など、必要な構成にあわせて、それらを開発する人達全体をみると、開発者が何を示す言葉なのかは、変化するんだろうなと思いました。

海外とのお仕事

海外との仕事と日本での仕事は違うよね、が面白かった。海外だと、ディレクターが、この目標この(具体的な)イメージをやりたいのだと、成果物を明確に伝えてチームを率いる感じ。日本だと、機能説明が文章で長々書いているけど、ユーザには何を体験させたいのか?と、開発者がその意図を逆に尋ねてしまうとか。また日本だと明文化すらなされず、わかるだろ、みたいな空気感で進行があるとか。海外だと、文化圏が違うから、あきらかな明文化せずには仕事にならない背景があるから、違ってくるんだろうなと。
海外から仕事を頼む人が、日本の開発者をみる目が面白かった。今は円高で日本人開発者は高い。それにインドなどにも開発者はいる。試しにインドの技術者と仕事してみたら、今は荒削りなところもあるけれど、5年もすればちゃんとした戦力になると思うし、彼らは英語圏でコミュニケーションができるやつらだから、使える、という感触。
じゃ、日本人開発者の意味って? それは、日本という文化を持っているところがあるんじゃないかと。例えば、日本でうける萌えゲーを作ろうとすれば、その空気感が分かる日本人じゃないと作れないと。逆に、日本人が米国でウケるゲームを作ろうにも、その空気感がわからないと作れないだろうと。日本だと萌え、じゃ米国で萌えみたいなものは?って思うと、それゾンビかな、と。米国では、ゾンビの日というのがあって、その日は映画館がずっとゾンビ映画ばかりかけたり、街中みんなでゾンビの仮装をするそうな。文化、違いすぎる。

とにかくエネルギッシュ

みなさん、エネルギッシュというか、時差を超えた世界に生きてる方で、活力の塊な方々でした。海外と仕事するとき、日本時間で午前4時でもお昼でもSkypeのチャットに反応するから相手からしたら時差が気にならないで楽なのかしら?とか、ほんを何冊も同時並行で書いているのに、会話でじゃその本が終わったら次の本を書こうとか話を持ちかけられているし、なんというか、じゃんじゃんやってく速度感、すごいです。

出張の締め

私が乗る品川から豊橋までの新幹線は本数が少ないので、品川での待ち時間がよく発生します。

なので夕食は品川駅でインドのカレー。チーズとほうれん草のカレーとココナッツミルクたっぷりのフィッシュカレー。おいしかった。

おみやげは、新幹線乗り場近くで売っている、芋羊羹。