iPhoneのノイズキャンセリングイヤホンの比較、まとめ

電車の中、そしてパソコンでプログラム開発な仕事場でiPod touchiPhoneで気軽に使えるノイズキャンセルイヤホンを探しました。

探してみると、PHITEK社からiPhoneのドックに直接接続できるノイズキャンセリングイヤフォンBlackbox i10 http://amzn.to/hM8aX1 という製品を見つけました。普通はノイズをキャンセルする回路のための電源として、外付け電池が必要なのですが、これはiPhoneドックから電源をもらうので電池がいらず、コンパクトです。ノイズキャンセルのイヤホンは、実際に手にとって製品を使ってみないと、本当に使いたいものかどうかが分からないので、実物がないか大型電器店などを探したのですが、見つかりませんでした。そこで、実際に購入して、以前に購入したオーディオテクニカ社のアクティブキャンセリングヘッドホン ATH-ANC3 と比較してみました。

使ってみると、ATH-ANC3よりもNC能力と音質は上、したの真ん中にあるヘッドホンと同等な感じがします。ATH-ANC3は、ペンのノックやキーボードのタイプ音のような、カチカチした音をけっこう通していました。このBlackbox i10は、そんなかちかちした音をキャンセル(NCを切った場合の半分も弱くはなってない感じもするので、耳栓効果な気もします)しているのが、職場に適していると思います。

- NCイヤホン NCヘッドホン Blackbox i10
商品
iPhoneとの接続 イヤホン端子 イヤホン端子 ドックコネクタ
iPhoneの連続再生時間 35時間 35時間 31.5時間
NC能力 人差し指で耳をふさいだ感じ 左のATH-ANC3より高い 同左
カツカツいう音のキャンセル(ペンのノック、キーボードタイプ) できない できる できる
音質 ややくぐもる 素直 素直
外部電池 単4電池1本 単4電池1本 いらない(ドックから供給)
外部電池動作時間 40時間 50時間 iPhoneが動作すればOK

まず、Blackbox i10の利点は、iPhoneのドックに直接接続して電源と音をもらうので、これまでのノイズキャンセルイヤホンの外付け電池が必要なく、ノイズキャンセルなのに、普通のイヤホンと同じすっきりしたケーブルであることです。でもiPhone本体から電源をもらうから、再生時間が短くならないか?と思ったので、iPhone3GS(1年使用)で実験してみました。機内モードにして、普通のヘッドホン(音量は真ん中に設定)でMPEG4の連続再生時間が35時間に対して、Blackbox i10を接続して同程度の音量に設定したときの再生時間は31.5時間でした。再生時間は3.5時間と1割程度短くなるだけで想像したより再生時間は長く、充電せずにアメリカと日本を十分に往復できる時間、動いていました。

肝心のノイズキャンセル(以下、NC)の能力ですが、NCをONにしたときの静かさ具合は、人差し指の腹で耳の穴を塞いだ状態とほぼ同じ程度でした。比較に使ったATH-ANC3のNC能力も高く差が分かりにくかったのですが、耳で聞いた感じではATH−ANC3よりも気持ち若干高い能力がある感じです。どちらの機種も、ノイズは綺麗にキャンセルし、人の声は半分くらいの音量に低減して、しかしクリアに通します。

Blackbox i10のNCは、ATH-ANC3がキャンセルできなかったクリック音、例えばペンをカチカチするような音が、ちゃんとキャンセルできていました。コツコツいう音は耳に触るので、この機能はとても心地いい感じでした。

イヤホンとしての音質は、Blackbox i10のほうが低音から高音まで素直に出ている感じがします。ATH-ANC3は、素直な音なのですが、ちょっと低音がくぐもった感じになっていましたが、Blackbox i10はそれを克服した感じです。

Blackbox i10の使い方まとめ

Blackbox i10を使ってみて、操作方法などをまとめてみます。

ドックコネクタの抜き差し

Blackbox i10はiPhoneドックコネクタに直接接続します。Amazonのレビューを見ると、機内モードにしないと認識しないなど使い方にコツがあるようなことが書かれていましたが、私が試した機種の範囲(下の表)では、そんなことはありませんでした。

電源がONのときにドックにBlackbox i10を差し込んでも、また抜いても問題ありませんでした。ドックに接続すると、iOS4の機種では"最適化されたアクセサリーではありません"という警告が表示されますが、ちゃんとノイズキャンセルは動作して音楽も問題なく聞けました。警告表示の有無は、こうなりました:

機種 OSバージョン 接続時の最適化されていない警告表示
初代 iPod touch 3.1.3 ない
iPhone3G 4.2.1 ある
iPhone3GS 4.2.1 ある
iPhone 4 4.2.1 ある

ドックからBlackbox i10を抜くと、イヤホンの時と同じように、音楽再生が停止します。またBlackbox i10をドックに接続しているときに、イヤホン端子にイヤホンを接続すると、イヤホン端子の方に音楽が流れ、Blackbox i10に音楽は流れなくなりました。この時でもBlackbox i10のNC機能は働いていました。

手元での操作

イヤホンの操作部分には、音量調整と、外部音モニタスイッチがあります。再生の停止や早送りなどの操作ボタンはなく、本体でのみ操作することになります。

音楽の再生と外部音のモニタ

ドックにBlackbox i10を接続して、音楽の再生を開始した瞬間、ぼつっという軽い衝撃音がします。NC機能の電源がONになるためだと思います。ちょっと耳障りなので、最初はイヤホンを外しておいて、音楽再生を開始してからイヤホンを装着するといいかもしれません。

Blackbox i10をドックに接続すると、iPhoneの画面の音量調整表示がなくなり、本体だけで音量調整するようになります。調整は本体で最小/最大設定と同じようにリニアに変化します。音量を0の位置にすると、耳を澄ませばかすかに聞こえる程度の蚊の鳴くような音ですが、ほんとうにかすかに音楽が聞こえます。気になるようなレベルではありません。
私は音楽再生の音量は最小に設定しているのですが、音をぎりぎりまで小さくすると、左のイヤホンから聞こえるが、右からは聞こえない状態になることがあります。これは音を少し大きめにしてから徐々に小さくしていくと、両方聞こえたままで音量最小の位置に設定できます。

外部音のモニタは、音量調節ボリュームの上にある小さいボタンを押しておこないます。ATH-ANC3の外部音モニタは単純にNC機能がOFFになるだけだったのですが、Blackbox i10は、ボリュームの下にある小さな穴の中のマイクで拾った音をイヤホンに出力する方式になっていました。イヤホンの遮音性能がけっこう高いので、マイクで音を確実に拾えるのは便利だと思いました。

電話がかかってきたときの振る舞いは、マイクがない普通のイヤホンと同じです。

電源の自動OFF機能

音楽を再生していない状態で画面が真っ暗(自動ロック状態)になると、約20秒後に電源がオフになります。音楽を再生していれば、Blackbox i10の電源は入りっぱなしです。また自動で電源がOFFになったときでも、音楽再生を再開すれば電源がONになります。

付属品

航空機のイヤホンを製造しているメーカーだけあって、カバンの中に乱暴に詰めても本体が損傷しないような、しっかりとした収納ケースが付属しています。またイヤーピースがS,M,Lの3サイズ用意されていて、自分の耳の穴にぴったりくるサイズを選べるようになっています。

まとめ

主に電車内で本を読むときなどに使用していました。NC機能だけを使うときは音量を0位置に、音楽を聞くときは音量を適度に設定して静かな環境を得ることができました。外付けの電池がいらないというのは、使ってみると、イヤホンの電池を持ち歩いたり充電する手間がいらないので、かなり気が楽になります。また電池ケースがないので、普通のイヤホンと同じすっきりしたケーブル回しになり、気持ちがいいです。
性能的にもATH-ANC3をさらに良くした感じですので、1万円をちょっと超える価格ではありますが、日常的にNC機能を使うiPod touch/iPhoneがメイン利用な方には、おすすめできる一品だと思いいます。

画像


iPhoneBlackbox i10を接続したところ。iPhoneにストラップを接続するオプション金具を付けているため、ドックコネクタが浮いているけれど動作しています。


音量コントローラ部分の比較。左がATH-ANC3、右がBlackbox i10。電池が不要なのでBlackbox i10のコントローラはすっきり小さい。


横からみると、クリップ部分の大きさの違いがよくわかる。Blackbox i10(右)はシャツに挟みこむような簡単なクリップ。


イヤホン部分。ATH-ANC3(左)よりBlackbox i10(右)のほうが、低音再生に向いたチャンバーがある?

PHITEK社って?

この製品を買うまでPHITEK社という会社を知らなかったのですが、航空機のイヤホンでは老舗のメーカーだそうです。4~5万円するNCヘッドホンを販売しているBOSE社とNCの特許で争うなどしています。
オーディオテクニカなどにもOEMで提供していて、実は比較したATH-ANC3等もPHITEK社のOEMらしいです。今回比較した下記のイヤホン接続のイヤホンとヘッドセット、そしてドック接続のイヤホンは、OEM元で見ると同じメーカ製品の比較になります。

- NCイヤホン NCヘッドホン Blackbox i10
商品
iPhoneとの接続 イヤホン端子 イヤホン端子 ドックコネクタ

その他

こちらの日立マクセルの製品も、PHITEK社の製品のOEMだそうで、Blackbox i10の一つ前の型になるそうです (製品の形がPHITEK社の製品そのままです)。Amazonのレビューを見ると、けっちょんけっちょんな評価になっています。Blackbox i10の半額近いのでこれが使えればいいなと思ったのですが、手を出さないほうがいいのなと思いました。