先のない会社の見分け方,6ヵ月毎の個人目標シートを書いているところ

はじめに

このエントリは実話に基づきお送りいたします.
私の先がない会社の見分け方に"個人目標シートを半年単位で出して評価する会社"があります.特に研究および開発に,単純にこの手法を採用している会社は,10年持たないと断言できます.

夏休みの宿題を1ヶ月前に終わらせていましたか

もしも,あなたがこのような会社に勤務されているならば"なにを言う!"と怒る前に,"夏休みの宿題を1ヶ月間に終わらせていたか"答えてみてください.
もしも終わらせていない,あるいは締め切り直前にしていたならば,半年単位の"個人目標"という宿題を,ちゃんと終わらせることができると,あなたは言い切れるでしょうか?

この問いかけに納得したあなたは,かなりヤバイ

もしもあなたが上の問いかけに疑問を持たなかったならば,あなたの考え方はかなりヤバイです."個人目標"は子供の宿題とはまったく意味が違うものです.それは,強制的に外からやらされるものではありません.自分が納得して,組織と自分が交わした出すべき成果の交渉結果なのです.
もしも強制的にやらされる,"宿題"というイメージを個人目標に感じたならば,頭の中身は小学生と違いはありません.さらに恐ろしいことに,それはあなただけではなく,組織のかなりの割合の人間がそうなのです.

問題点はどこ?

最大の問題は,個人目標という"制度"が,あなたと会社と顧客の利益にどうつながるかが,考えられていないのではないかと私には思えるのです.
いくつか具体的に書いてみましょう.

致命的にフィードバックが遅い

半年同じ目標を掲げて活動する組織がどこにあるでしょうか? あるいはこう考えましょう.上場会社の経営者が半年単位で"結果はどうだった"と報告を受けていたなら,即座に上場停止になるでしょう.まともな経営者ではありません.
顧客と会社に利益をもたらす目的で,個人目標を設定したならば,半年単位で評価,フィードバックでは遅すぎるのです.状況は刻一刻と変わります.まともな上司ならば,毎日,毎週こまめにフィードバックするでしょう.
ですから,半年単位でフィードバックをかける会社は,どこか頭のネジが飛んでいると考えなければ,その行動に合理的な説明がつかないのです.

同じ目標がいつも書かれる謎

常に"特許xx件"という目標が書かれていませんか? しかも数値まで同じで.このような同じ目標が書かれる個人目標シートに意味があるでしょうか?
個人目標は個人の成長を促すものだと考えます.ですから特許xx件を書く力が身についたならば,次は件数を増やす(量的成長),クロスライセンスを狙える特許にする(質的成長)など,次へと目標は変化するはずなのです.
もしも達成できないために同じ目標が延々と書かれているならば,それはすでに目標ではなく,個人的な"こうだったらいいな"を綴ったポエムでしょう.

個人目標と組織目標をあわせる愚,ウォータフォール開発の発想か?

組織目標にあわせて個人目標を書かせるのは,ひょっとすると最も愚かな考えかもしれません.ここしばらく開発手法の書籍を読み進めています.表題の発想はまさにウォーターフォール・モデルなのです.もしもリーン開発の考え方ならばどうするだろうかと考えると,やはり6ヶ月単位の個人目標というのは気が狂っているとしか思えないのです.

まとめ

目標を設定してそれに向けて力を出すことは,とても意味があることです.ですが,その目標が,個人,会社,顧客,それぞれにどのような利益をもたらしたかを即答できるでしょうか.これに答えられない会社は,なぜその活動をするのかを本当の意味で理解してはいません.それは経営も同じことでしょう.誰のためにどのような利益となるかを本当の意味で理解していない経営では,この先10年続くことはないと,私は思います.